第67話   釣りと遠征   平成15年12月13日  

不思議なもので釣り人は皆何故か、近くでは釣れる気がしなくなるべく遠くへ行きたがる。ことに最近は足となる自家用車の普及が輪をかけた為に其の傾向が強い。酒田北港でも毎日のように内陸、太平洋側からの80~120kmもかけての遠征の人に出会う。

生涯に一、二度はホームグランドから他の場所へ行った見たい欲望に駆られる。内陸の人はしょうがないにしてもあっちの磯、こっちの防波堤と行辺定めぬ釣りの放浪を始めるようだ。庄内でも鶴岡の釣り人は酒田や下磯(吹浦以北秋田県平沢辺りまで)、酒田の人は鶴岡の上磯(湯野浜以南から新潟県境付近)、下磯まで良く出掛ける。この位はまだ良い方で12月、1月の厳寒の男鹿、佐渡へと行く者も多い。最近の中央の釣雑誌などで黒鯛の特集を組んで釣り人を煽っている傾向がある。確かに名人や達人が来て釣れば釣れているかもしれないが、アマチュア釣師が一度や二度行って釣れる事はまず無いと云って良い。逆にだから面白いという事なのかも知れないが・・・・?

行ってみれば何処も同じで釣れる時は釣れるし、釣れない時は釣れない。自分の女房より他人の女房が良く見えるのと同じ事で、他所へ行けば釣れるような気がするので、行くだけで絶対に釣れるとは限らないのである。車で23時間をかけてワザワザ遠く太平洋、内陸から遠征の釣り人は、その時の都合や制約などもあってしょうがない時もあるだろうが、海に近い酒田や鶴岡に住む釣り人がワザワザ遠くに行く必要はない筈である。

自分が知り尽くしたホームグランドが一番釣りやすいし、釣り方も分かって最高なのだ。それをまだ行った事もない場所で最初から、根や深さや潮の出具合を調べてポイントを探すことなど一日や二日くらい等では出来る物ではない。それで実績を上げる事などは余程の運にでも恵まれないと上げる事は出来ない。

各云う私も昔は良く遠征に出掛けた。北は男鹿を越えて青森県にまで越境し南は新潟県に越境した事も度々あった。確かに運もあって、デカイのも釣った事もあるし、又不運に見舞われボーズの事も多々あった。

結局は何処へ行っても釣れる時は釣れる。ならば車を使って遠出する事もなしに、慣れ親しんだホームグランドでじっくりと腰を落ち着けて釣った方が良いという結論に達している。